ネパールに行くなら知っておきたいネパールバンダという不可解なストライキのこと
ナマステ、勝手にネパール観光大使のmiyachikaです。
ネパール旅行に行く前に、ぜひ、知っておいきたいのが、ネパールバンダと呼ばれる、日本人の理解を超えたストライキのこと。
最近はバンダの回数も減ってきたように思いますが、いつ何時突然起こるかわからないのがバンダです。
今日は、このツーリストにとっては不可解なこのバンダについて、その実態をお話しします。
この記事のもくじ
ネパール旅行の予定を乱す、バンダという名の強制的全員参加の国民スト
ネパールはアジアの中でも比較的治安のいい国なんですが、ツーリストにとって(もちろん住んでいる人にとってもですが)一つ、やっかいなことがあります。
それがバンダと呼ばれるもの。
バンダというのは、ネパール語で“閉める”という意味で、日本語では言えば、「ストライキ」ということになるんでしょうが、これ、日本のストライキとは全く違うものです。
ネパールでいうバンダは、政府に対する国民の抗議行動の一つであり、もっともよく使われる常套手段です。
例えば、ガソリンの大幅な値上げに対する抗議だったり、
あるいは、拘留されている野党の幹部の釈放を要求するものだったり、
また、少数民族が自身の地位向上や人権を訴えるものだったり、
そういう政治的要求を表明するもので、一般の庶民をも巻き込んだ全員参加の強制ストです。
バンダの範囲はその時の要求の内容にもよって変わってきますが、全国的な問題であればネパール全土で行われるネパールバンダ、カトマンズ盆地の問題であれば、カトマンズバンダになり、あるいは地方の問題であれば、その地方だけのバンダになります。
ただ、カトマンズは、首都であり、政治の中心でもあるので、一番バンダが多くなる傾向にはあるし、一番派手にデモが行われる傾向にはありますね。
バンダの日はどんなことが起こるのか?
で、具体的にバンダの日とは、町はどのような状態になるかというと、バンダ(閉まる)の名にふさわしく、ほんと〜に、何もかも閉まってしまいます。
まず、公共の交通手段、これは飛行機を除いて動きません。バスもなし、タクシーもなしです。さらに、自家用車やバイクに乗るのも許されません。バンダのタイトさにもよりますが、時には自転車さえ許されないバンダもあります。
さらに、学校も休み、会社も休み、銀行も休み、スーパーも休み、映画館も休み、レストランも休み、お土産物屋も休みです。(子供たちは学校が休みなので、大喜びですけどね)
開いているのは、役所とお寺だけ。
(お気の毒なことに、役所のスタッフは、バンダの日でも休めません。何故ならバンダは反政府行動であり、バンダの日に休むということは、その抗議行動に賛同しているという意味に取られるからなんですが、とはいっても、みな、徒歩圏内に住んでいるわけじゃないですからね〜、下っ端は必死で歩いてくるようですが、オフィサーは適当な理由で来なかったりするらしいです)
そして、自分は扇動団体の主張に賛同しないので、バンダには参加しないということはできません。いや、できるといえば、できますが、バンダを無視して店を開けたり、車を運転したりすると、バンダ破りということで、投石や放火などの報復を受けかねないので、要注意。
だから、町中が閉まっているからといって、住民全員がバンダに賛同しているというわけではありません。暴力によって強制参加させられているだけなのです。
ただ、バンダといっても、タイトさは、扇動する団体の過激度によって、変わってきます。過激派が扇動している時は自転車さえも許さない完全バンダのキツいバンダになるし、小さい政治団体が主導しているものだと少しくらいタクシーも動いていたり、住宅街の小さな日用雑貨店などは営業できる緩いバンダになったりします。
バンダの日の普通の人々の過ごし方
で、こんなに何もかも閉まってしまうのに、ツーリストはどうすればいいの? ってことになりますよね。
ただ、バンダだからといって、ホテルに泊まっているお客様を追い出したりはしないので、その点はご安心を。ホテルのゲートは閉めても、中は営業しています。レストランによっては、裏口から入れるところもあります。また、バンダは基本、日暮れまでなので、夜だけ開けるお店やレストランもあります。
また、ツーリストナンバーと呼ばれるツーリスト専用の緑色のナンバーの車だけは通行を許されたり、バンダの時のみ空港と市内を結ぶ政府が運行するシャトルバスが出たりします。
あるいは、バンダ破りを承知で普段の4〜5倍の値段で走らせるタクシーもツーリストエリアの周りにはいたりします。
なので、寝て、食べて、空港移動という最低のファシリティーだけは守られるとは思います。
思いますが、何もかも閉まっているという状態は、まあ、そう楽しいのものではないですよね。それが、ネパール滞在の4泊5日のうちの1日がバンダだったりしたら、そりゃ、頭にくるのもわかります。しかも、その怒りをどこに向けていいのやら、という状態です。
ホテルに滞在しているなら、思い切ってホテルのスパや、プールでのんびり過ごすのがいいかもしれません。
あとは、近場の観光地に遠足気分で歩いていくか、車がいないので道路を渡るのも簡単だし、心なしか空気もきれいに感じられますよ。
ただ、気をつけたいのは、バンダの時のデモ隊や、集会には近づかないことです。そんなに危険ってことはそうそうないんですが、気が荒くなっている人もいるので、何かのきっかけで機動隊と衝突が始まらないとも限らないですしね。
また、バンダの危険度は、要求の内容や扇動団体によって変わってきます。ある程度住んでいれば、バンダの危険度がだいたいわかるようになりますが、ツーリストにはそれは難しいので、バンダ時には、群集に近づかない、これを基本行動にしてもらえればと思います。
君子危うきには近寄らず、で行きましょう!
私などは、バンダの日は、もう家でゆっくりすごすか、普段なかなか行けない友人の家に歩いて行ったりして過ごします。
予測不可能のバンダにどう対処するのか?
ツーリスト泣かせ、旅行代理店泣かせのバンダですが、政府の何らかのアクションや、事件に反応して起こるため、いつ起こるかが予測不可能なところがあります。
予め、予告されているバンダもないことはないですが、そうは言っても2ヶ月先、3ヶ月先からわかっているなんてことはないです。せいぜい1週間前とか。それって、もう航空券買っちゃってますよね。
パッケージツアーの場合は、多少スケジュールは変更になる場合もあるかと思いますが、基本的にツアー会社がなんとかしてくれます。
困るのは個人旅行の場合でしょう。
その場合の、対処法、なんてのがあればいいんですが、これはもう、諦めて、滅多にできない面白い経験ができたと思って、その状況を楽しんじゃうしかないかなあ…。
旅行代店の人を責めても仕方ありません。彼らだって大きな損害を被る被害者です。
あるがままを受け入れろ
ネパールに住んでいると、このフレーズが何回頭の中を流れることでしょう。
貴重な時間と貴重なお金を使って、日本からわざわざネパールに来てくれる大事なお客様に、バンダという状況を押し付ける、本当にひどい国ではあります。
お前、観光立国って意識本当にあるの!
と言いたくもなります。
忍耐力を試されているのかと思うことだって、何回あったことか。
それでも、こんなネパールを見捨てることなく、ネパールに来てくださる貴重なツーリストの方には、自称勝手にネパール観光大使としては、感謝、感激するばかりです。
そんな方々がネパールでいきなりバンダというものに直面して、とまどうことがないようにと、バンダについてのご説明をさせていただきました。少しでもお役にたてば幸いです。
そして、皆様のネパールの旅が心に残るものになりますように。