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ダサインに並ぶネパール人にとって重要なお祭り、ティハールってどんなお祭り?

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ネパールのポカラ在住、時々日本やタイ、その他いろんな国に出没する、エディター兼ライター兼コーディネイターのみやちか(Chikako Miyamoto)です。今まで培った編集力を駆使して、50歳からのトキメキのある人生を発信し続けるお姉さん。

 

ナマステ~、ネパールのポカラ在住フリーランスライターのみやちかです。

 

さて、ネパールにおける最大のお祭りダサインが終わったばかりですが、ほっとひと息つく暇なんてありません。なにしろ、その2週間後にはダサインに並ぶ重要な祭りであるティハールが控えているからです。

ダサインの初日からティハールの最終日まではちょうど1ヶ月くらい。ネパール人にとって盆と正月とゴールデンウィークが一度に来たくらいのざわざわ感で、国中が浮き足立っています。

 

ダサインが終わって平常に戻るかと思いきや、ティハールが終わるまで村から帰ってこない人もちらほら(特に日雇い労働者などはその傾向が強い)。

私の住むポカラでは、ダサインからティハールにかけては小~中学校は約1ヶ月のお休みのところがほとんど。娘が通っていた学校もぶっ続けで休み、年間で一番長い休暇でした。

 

ティハールも来週に迫った今、ポカラの商店街もティハール商戦待っ只中!

そこで、今日は、もうすぐ始まるティハールについてまとめてみました。

 

ちなみにダサインについては、以下の記事を参考にしてください。

 

ネパール最大のお祭り、ダサインって、どんな祭り?

 

 

光の祭典、ティハールとは?

 

ティハールとは、ネパールのヒンズー教徒の間で祝われるお祭りのこと。

豊穣と幸運の女神ラクシュミを家に迎えるためのデコレーションやライトアップが美しいので、『光の祭典』とも呼ばれています。

ティハールは、ネパールの暦であるビクラム暦の7番目の月(カルティック=西暦の10月半ばから11月半ばに当たる)の新月を挟んで前後4日間か5日間にわたって行われます。

ダサイン同様、月の暦と深く関係しているため毎年開催時期は前後にずれます。そのため、今年はいつティハールなのか、ネパールのビクラム暦のカレンダーでの確認が必要です。

 

ティハールは5つのプジャ(儀式、供養)からなりますが、2018年のティハールの日程は、以下のようになります。

 

2018年ティハールの日程

11月5日 カーグティハール

11月6日 ククルティハール

11月7日 ラクシュミプジャ(ガイティハール)

11月8日 ゴバルダンプジャ/モープジャ

11月9日 バイティカ

 

ちなみに上記の中で公休日となっているのは7日、8日、9日の3日間。この間、政府関連の役所や銀行などはお休みとなります。

 

ティハールの5つのプジャ(儀式、供養)

 

ティハールには、5日間かけて5つのプジャが行われます。

1日目から5日までそれぞれのプジャについてみてみましょう。

 

1日目:カーグティハール

 

「カーグ」とはネパール語でカラスのこと。初日はカラス供養をする日です。

ネパールでは、カラスは知らせを伝えるものとされています。

 

この日、人々は、葉っぱのお皿にご馳走とお供えをのせてカラスに捧げます。(といってもカラスが人の近くに来ることはないですから、家の前や道端にお供えするのですが)

昔の人々は、良い知らせを持ってきてくれるように祈りながらお供えしたのかもしれませんね。

 

2日目:ククルティハール

 

2日目は「ククル(=犬)」にプジャする日です。

犬は恩を忘れない動物で、人間の友であり、ガードマン(番犬)でもあります。

この日、犬を飼っている人は、自分の飼い犬に花輪をかけ、額にティカ(赤い粉)をつけ、ご馳走を与えます。

 

犬を飼ってない人は?というと、近所の野良犬にプジャすることも。だから、この日は野良犬にとって最高の一日。

いつもは「しっ」とか言われているのに、この日ばかりは花輪をもらいティカもつけてもらい、さらにはご馳走にまでありつける!花輪を首に、どこか足取りも軽く見えるから不思議です。

 

3日目:ラクシュミプジャ(ガイティハール)

 

 

カラス、犬ときて、3日目は雌牛(=ガイ)にプジャするガイティハールです。

雌牛は人々にミルクを与えくれる母なる存在でもあり、ラクシュミとして崇められています。

雌牛の尿は神聖なものであり、お清めや儀式に欠かせませんし、雌牛の糞は家の土壁や床を塗り固めるのに必要なもの。雌牛は農家にとってとても大切な財産なのです。

そんな雌牛に感謝と敬意を示すのがガイティハール。最近は、街中で牛を飼うのが難しくなっていますが、村ではマリーゴールドの花輪を首にまき、額にティカをつけた牛を目にすることができるでしょう。

 

そして3日目の夜にはラクシュミプジャが行われます。

豊穣と幸運の女神であるラクシュミを迎え入れるため、皆朝から大忙しです。家は掃除した後、マリーゴールドなどのお花できれいに飾り付けられます。家の玄関前の地面にはラクシュミを招き入れるためにランゴリとよばれる美しい絵柄が描かれ、家の四方に明かりが灯されます。

かつては、オイル灯明が灯されていることが多かったのですが、最近では、手軽なイルミネーションライトを使う家も多くなってきました。

日が暮れ始めると家々に明かりが灯され、ラクシュミプジャが始まります。

 

 

20年前、私がカトマンズに住んでいたアパートの大家さんはネワール族でしたが、主婦にとってティハールが一番忙しく大変だと言っていました。

なにしろ一晩中明かりを欠かしてはいけないのだそうです。そのために夜中じゅう、オイル灯明に油を継ぎ足すのだと。あの頃は、イルミネーションライトは一般家庭はほとんど使われていなかったからなあ~。

最近は、イルミネーションライトがあるから、徹夜しなくても大丈夫かな…、なんて、ふと原稿を書きながら昔の大家さんの事を思い出しました。

 

と、話が逸れてしまいましたが、このラクシュミプジャ、商売人にとって一年で一番大切なプジャといっても過言ではありません。なにしろ富の女神様ですから、商売繁盛、家業繁栄を願わないわけがない! 商店では朝からプジャの準備に余念がありません。

いつもは売る気満々の商人たちもプジャの準備で頭がいっぱいの様子。カトマンズで美しいイルミネーションを見たいなら、高級なものを扱う店が通りに並ぶニューロードあたりを訪れてみてはいかがでしょうか?

 

4日目:ゴバルダンプジャ/ゴルティハール

4日目の動物ゴルは、雄牛のこと(ネパールでは動物のメスとオスでは呼び名が違うことが良くあります)。

ゴルティハールは、雄牛にプジャをする日。雄牛は、畑を耕すのに農家にとって欠かせない動物だからです。

また、ゴバルダンとは、牛の糞が山積みになったもののこと。牛の糞は農作物にとってなくてはならない肥料となる大切なものであるためにプジャをするようになったのでしょうね。

 

4日目:モープジャ

 

ネワール族(カトマンズ盆地先住民である民族)にとってはティハール4日目はとても重要な日です。なぜなら、この日はネワール族のお正月だからです。

ネパールの公的な暦はビクラム暦で(なんと2018年現在、ビクラム暦では2075年です)西暦の4月なかばごろに新年を迎えます。しかし、ネワール族は、それとは別に独自の暦を持っていて、その新年はティハールの4日目なのです。

ネワール族にとってこの日は自分の体を清める日。一年の間に体に溜まった悪いものを清め、新しい一年を迎えます。

 

5日目:バイティカ

 

 

5日目の最終日には、ラクシュミプジャに並ぶ、ティハールのメインプジャ、バイティカが行われます。

バイはネパール語で弟。お姉さん(あるいは妹)から弟(あるいは兄)にティカを贈る日で、女性の守護力を兄弟に与えるという意味があります。

 

この日のために姉妹たちは、シェルロティ(米粉のドーナツ)やプリ(揚げパン)を揚げ、お肉料理を始め何種類ものご馳走を作り、ナッツ類や果物、花輪、トピ(ネパールの正装時にかぶる伝統的な男性用帽子)を用意します。

 

この日、男性が額につけるティカはいつもの赤いコメのティカではありません。

コメの粉を水に溶いたもので細長いラインを描き、その上に色々な色をのせていくというバイティカならではのティカ。

ティカをつけたら、花輪をかけて、シェルロティやナッツが贈られます。そのお返しとして、兄弟からは姉妹にお礼の衣服や金品が贈られます。

 

そして、バイティカ恒例の儀式といえば、クルミ割りです。クルミを魔物の頭と見立て、姉妹がドアの敷居のところでクルミを石でかち割ります。

 

 

ちなみに写真は、うちの村でのバイティカの様子。

バイティカの儀式の詳細は民族や地方によって様々ですが、うちの村ではティカは3本。

手作りの大きな葉っぱのお皿には(前日に女性陣が集まって作ったものです)何種類かのロティとお肉料理やアチャール(漬物的なお惣菜)がのっています。これ一人一皿です。

 

ちなみにお姉さんも妹もいない人はどうするか?

その場合は、いとこのお姉さんとか、お母さんの妹(つまりおばさん)などからティカをもらいます。

そのような人もいない場合、血は繋がってなくても、兄弟の契りを交わした女性の知り合いにティカをつけてもらうこともあります。

 

 

ティハールの見どころは?

 

ふう、説明が長くなってしまいましたが、上記がティハールの概要になります。

ダサインとティハール、どちらもネパールのヒンズー教徒にとっては欠かせないお祭りですが、ツーリストが楽しめるのは断然ティハールです。

ダサインは家の中で家族で祝われる祭りで外から見る要素が少ないのです。それに比べ、ティハールはツーリストが見て楽しめる要素がたくさん。

そこで、ツーリストのためのティハールの見どころを簡単にまとめてみました。

 

1:ラクシュミプジャのデコレーションやライティング

家々やお店、お寺などあらゆる建物が美しくライトアップされるのラクシュミプジャ。たくさんの花で飾られた家々の玄関ドアや、お店のショーウインドウを見比べるのも楽しいもの。

特に暗くなってからはそれらがオイル灯明やろうそく、イルミネーションライトで、美しくライトアップされます。特に夜ライトアップされたレンガ造りの古い家や寺は幻想的。

また、ラクシュミプジャの日は、玄関先の道にラクシュミを迎えるためのランゴリ(カラフルで美しい円形の模様)が描かれます。それらを見て歩くのも楽しいですよ。

 

2:バイロとデウシレ

ラクシュミプジャの夜、子供たちが集まって、歌や踊りを披露しながら近所の家々をめぐり歩くことをバイロと言います。

ゴバルダンプジャの日、あるいはバイティカの日に、同じように歌や踊りを披露しながら近所の家々をめぐり歩くのはデウシレと呼ばれます。

子供達はできるだけたくさんの家を回ろうと夜中歩き回り、家々からお菓子やお金を集めます。ハロウィンの『トリックオアトリート』みたいな感じでしょうか?

中には、伝統衣装をバッチリ決めて、みっちり練習を積んだグループもいます。ホテルやゲストハウスが集中するポカラのレイクサイドでは、プロや大人のグループもたくさん訪れ、あちこちで音楽や笑い声が聞こえてきます。

 

3:バイティカ

 

男性のツーリストなら、友達になったネパール人にバイティカに誘ってもらえるかもしれません。

せっかくの機会です。誘われたらぜひ出かけてみましょう。

花輪にティカに、花びらシャワーなどなどネパールならではの体験を楽しんじゃいましょう。

ただし、ティカをもらったということは、あなたはその女性とは兄弟の契りを交わしたということになります。その時点で恋愛対象、結婚相手対象から外れますから注意してくださいね。

 

それから、最後にちゃんとお礼を包んで渡すのも忘れずに!

金額に決まりはありませんが、お姉さんたちが準備にかけた時間とお金を考えてそれ相当のお返しを。ネパール人男性に誘われた場合は、彼にいくら包んでいけばいいか聞いてみるのが一番です。彼よりも多すぎのも少なすぎるのもよろしくないですからね。

 

 

もっとも華やかで賑やかなティハールを満喫してください!

 

というわけで、今日はティハールについてご紹介してみました。

この時期にネパールを訪れることがあれば、ぜひティハール祭りを楽しんでくださいね。

では、では、ハッピーデパワリ!

良いティハールを!

 

 

 

 

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