ヒンズー教の司祭が占星術で決めるネパールの名前事情

 

 

ナマステ~、ネパール在住、フリーランスライターのみやちかです。

ネパールは多民族、多言語、多宗教の国ですが、

宗教の中ではヒンズー教徒がダントツです。

そして、ヒンズー教において、切っても切れないのがインド占星術

人生の様々な転機のたびに、占星術師にお伺いを立てるのは、ネパールでは、日常的なこと。

そして、一生を一緒に過ごすことになる名前も、占星術師が決めるとか!?

今日は、そんなネパール人の名前にまつわるお話をしてみたいと思います。

 

 

ネパールではいくつも名前をもつ人がいる不思議

以前、ホテルを経営していた頃、常に10人前後のネパール人スタッフと仕事をしていました。

その中に、みんなからラジュと呼ばれているスタッフがいました。でも、彼が会社に提出したナガリタ(ネパールのIDカード。日本で言えば、戸籍に相当する)には、彼の名前はナラヤンとなっています。

そして、よくよく聞いてみると、ラジュとナラヤン以外にも、ヒンズー教の司祭がつけてくれた特別の名前も持っているというのです。

 

なんで、名前が3つもあるの?

 

最初、日本人の私には、わけがわからなかったのですが、実は、複数の名前を持っているのは、何もうちのスタッフに限ったことではないとわかりました。

 

いや~、うちのツレアイも、村に帰ると、違う名前で呼ばれるじゃないですか?

「それ誰? え、あんたの名前なん?」

知らんかった。他にも名前あったんだ~という感じ。

でも、一体、どういうわけで、複数の名前がつけられているのでしょうか?

 

 

生まれてから11日目に行われる名付けの儀式

 

ネパールのヒンズー教徒の場合、赤ちゃんが生まれてから11日目にナラン(あるいはノラン? ネパール語の発音は日本語より多くて、日本語表記するのが難しいです)という儀式が執り行われます。

ヒンズー教徒の司祭が呼ばれて、産後の穢れを清め、赤ちゃんに名前を授けるという儀式です。

 

このときに、赤ちゃんは、司祭から二つの名前を授けられます。

 

一つは、赤ちゃんの耳元でささやかれる赤ちゃんと神様のみが知る名前。これは、赤ちゃんにしかわからない程度のささやき声で告げられ、両親にすら知らされないそうです。神様がその子を呼ぶときにのみ使われる名前だとか。

 

もう一つの名前は、ちゃんと赤ちゃんの両親に告げられますが、この名前、生まれた日時の星回りの位置から、最初の音が決まってきます。

 

インド占星術でも、生まれた時の星の位置で12の星座に分けられます。ただ、西洋占星術のように、何月何日から何月何日までは○○座のように約1ヶ月単位で決まっていません。同じ月でも、今日と明日では、違う星座だったり、同じ日でも、朝と夜では違う星座のこともあります。

そして、星座ごとに、名前の最初の音が決まっています。

例えば牡牛座の場合、「い、う、え、お、ば、び、ぶ、べ、ぼ」の9つの音のうちのいずれからの音から始まる名前がつけられることになります。

イシュワールとか、ウマとか、バブラム、ビジェイとかです。

逆に言えば、名前の最初の音で、その人の星座がわかったりもします。

 

 

儀式でつけられた名前は、儀式で使われる

儀式でつけられた名前は、占いや儀式の時に使う大事な名前。結婚や、開業、引越しなど人生の大きな節目には、まだまだ占いに頼る風習が残るネパールでは、儀式用の名前はその時に使う大切なもの。

ただし、その名前を知られてしまうと、呪いなども簡単にかけられてしまうと考えらえており、日常生活の呼び名としては、違う名前を使う人もいます。

 

だから、名前が複数あるんです。

 

でも、これにもいろんなパターンがあります。

 

  1. ナランでつけられた名前は、儀式や占いの時にのみ使用、出生届けは別の名前を使うパターン。
  2. ナランでつけられた名前は、儀式や占いはもちろん、出生届もその名前で行う。ただし、日常的には別の名前で呼ぶというパターン。
  3. もちろん、ナランでつけられた名前を、儀式や占い、出生届はもちろん、日常的にも使う、というパターンもありです。
  4. あるいは、ナランでつけられた名前は、儀式や占いのみで使う。出生届は別の名前で提出。さらに、日常の呼び名は別につけるというようなパターン。

 

うちのスタッフだったラジュは4つ目のパターンですね。で、その彼に、なんで3つも名前が必要なのか、聞いてみたことがありました。

 

学校で同じクラスにナラヤンが別にいたんだそうです。で、紛らわしいし、彼自身、ナラヤンって名前はあまり好きじゃなかったので、クラスではラジュと呼ばれるようになって、それ以来、外ではラジュと名乗っているということでした。

 

 

 

名前でメジャーなのは、神様の名前

ネパール人の名前、確かに、他の人とかぶることが多いですね。名前のバリエーションが少ないせいでしょうか?

そんな少ないバリエーションの中でも、昔から人気なのは、ヒンズー教徒の神様の名前です。

 

男の子なら、シバ、クリシュナ、ビシュヌ、ガネーシャ、ラム(王子様ですが、ビシュヌの生まれ変わりです)など。

女の子ならガンガ、ラクシュミ、サラスワティ、ドゥルガ、パルバティなどなど。

これ、みんな 神様の名前。

なんか、ありがたくて、ご利益ありそうな感じですよね。

 

でも、実際のところ、近頃はこういう名前は田舎者っぽいと思っている若者が多いようです。

日本で、梅とか、トメ子、佐吉、勘助とかは古臭いと思われてるのと同じような感じなんでしょうかね?

それゆえに、友達の間では、自分のお気に入りの洒落た名前を使うって若い子たちを何人かは知っています。

 

 

最近は個性的な名前がはやりです

それから、やたらと『S』から始まる名前が多いようにも思います。

男性の名前だと、スバス、スニル、スージャン、サミール、サントス、サンディップ、サンジップなど。

女性だと、スニタ、ススミタ、ススマ、スミ、スジャータ、スルジェ、サンギータ、サムジャナ、サラダ、サジナ、サミットラなど。

で、なぜ、『S』なのかというと、どうも『S』って、縁起がいいらしいんですよね。

 

あと、日本も、響きがかわいい名前や、個性的な名前が増えてきましたが最近のネパールでもそういう傾向はやっぱりあります。

サリーとか、メリーとか、女の子の場合は、特に、ちょっとかわいい響きの洋風な名前の子も最近は見かけます。

 

男の子の場合どうなんだろ~。知り合いの親日派のネパール人の子供は自然くんという名前だったな~。

あと、最近知り合った大学生のネパール人は、あゆむくんという名前でした。両親ともネパール人なんですが、両親が日本で働いていたらしいんですよね。

 

きっと儀式用には、ネパールの伝統的な名前を持っているんでしょうけど、対外的には、ネパールもどんどんモダン化しているように思います。

 

日本に比べると、伝統的なものや、宗教的なものがまだまだ日々の暮らしの中に息づいているネパールですが、それも、これからは徐々に変わっていくのかもしれません。

いいような、寂しいような感じですね。

と、まあ、そんなこんなの、ネパールの名前事情を、今日はご紹介させていただきました。

 

ちなみに私の娘も、バウンに名前つけてもらいました。でも、それは普段は使ってません。何しろ、めちゃっネパールチックな名前なんで。

もしかしたら、彼女、自分のナラン名知らないかもしれませんね~。今度ちゃんと教えてあげとかないとですな。

 

では、では、今日は、ここまでということで、ナマステ~!

 

 

 

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