私流人生の歩き方 その人の心を開くことができるのは、その人自身以外にない
こんにちは、昔、昔、20年以上も昔、心を壊しかけたライターのみやちかです。
当時、東京で電車通勤していた私ですが、ある朝、会社に行く電車の中で、特に何があったわけでもないのに、つーっと涙が流れて、その時、はじめて、自分でもヤバイと思ったことを覚えています。
あの頃の私は、一人で勝手にいじけて心を閉じてしまっていました。
だから、心を閉じている人を見ると、つい、心を開けるお手伝いをしたくなるのですが、閉じた心って他人が開けようとすると、さらに強く閉じてしまうものなんです。
だって、無理やりこじ開けられたら痛いから。
今日は、そんな心のお話です。
こじれた心は開こうとすると、貝のように余計に閉じる
ある日、出社すると、私のデスクの上に本が置いてありました。
タイトルは、「自分を好きになる本」。
………。
確かにあの頃、私、ちょっと、心が壊れていたんですよね。
自分が、自分らしくない気がして、そんな自分が嫌いでした。
どうしようもないくらい、うじうじ、いじけてました。
根暗で、嫌なやつでした。
でも、その本を見た時の私の正直な気持ちは、
「痛いから、無理やりこじ開けようとしないで!」でした。
私に本を送ってくれた人は、本当に、私のことを心から心配してくれていたのに、心が閉じている時って、人の善意や親切が届かないんです。
それどころか、閉じた心を無理やりこじ開けようとされているように感じて、痛くて、痛くて触らないでと言いたくなっちゃうんです。
北風と太陽のお話のように
どんな人であれ、他人の心を無理やり外から開くことは不可能です。心を開くことができるのは、その人以外にありえないからです。
イソップ寓話にも、『北風と太陽』というお話があるではないですか。
北風と太陽が、どちらが強いか、力くらべをするお話。
ご存知のように、このお話では、一人の旅人の上着をどちらが脱がせることができるかを競います。
北風は、旅人の上着を吹き飛ばそうと力いっぱい冷たい風を吹き付けます。しかし、旅人が風が強くなればなるほど、その上着をしっかり押さえ込んでしまいます。
一方、太陽がしたことと言えば、さんさんと照りつけることのみ。すると旅人は、だんだんと暑くなり、汗をかきはじめ、ついには自ら上着を脱ぎます。
このお話の教訓は、『強引に外からの力で他人を動かそうとするよりも、その人が自ら動くような状況を作った方がうまくいく』ということでしょうか。
人の心を開くのも、旅人の上着を脱がせるのと同じなのかもしれません。
結局は、本人にしか心の扉は開けられない。
今だから、思えるのですが、私に『自分を好きになる本』という本を贈ってくれた彼女は、本当に、私のことを想い、心配してくれていました。
お説教したり、説得したりするよりは、この本を読んで、私が自分で活路を見いだせるようにという配慮がそこにあったのもわかります。
それなのに、あの時のかなりナーバスになっていた私には、それすらも、北風のように感じて、拒否してしまいました。
そして、結局、私は、会社を辞めました。
彼女に憐れまれているような気がして、それも辛かったのです。
そして、環境を変えること、旅に出ることで、少しずつ自分を取り戻しました。その話は、また別の機会にすることとして、とにかく、結局は、自分の心は自分で開く以外には、ないのだと思います。
ただ、今では、私に本を贈った彼女の気持ちもわかります。多分、私に拒否されたことで、彼女だって傷ついただろうことや、あんな根暗でいじけたやつが同じ部署にいることで、彼女だって、かなり仕事しにくかっただろうなということも。
心って、時にとっても面倒です。
でも、だから、いいんだろうけどね。
私がいじけていたせいで、彼女との関係はぎくしゃくし、それで、さらに私は萎縮して、辛い時期を過ごしました。でも、人間関係において、片方だけが不快であるということは多分ないんです。
私がしんどかったように、彼女もしんどかったのです。
それでも、結局、自分の心を開くのは、その人本人にしかできません。まわりの人ができるのは、それをじっと見守るくらいなのです。
最後に
自分の経験から、同じような落とし穴にはまって、辛そうな人を見ると、ついついおせっかいしてしまいそうになります。なんとか、救ってあげたい、そう思ってしまいます。
そして、気がつきました。
あ〜、あの時の彼女ってこんな気持ちだったんだ、って。
そして、見守るという行為は、どんなに忍耐がいるのか、もどかしいか、やっとわかりました。
それでも、他人にできるのは、じっと見守ってあげることと、向こうが手を伸ばした時に、その手を取ってあげることくらいです。
親になって、ますます、その難しさを感じます。
でも、太陽のように、暖かく見守れる母でありたいなあと思う今日この頃の私です。