2016/12/09

ネパールの冠婚葬祭 村でお義父さんの喪に服す その2 たくさんのギューと歩けない嫁編

 

 

ナマステ〜、ネパール人と国際結婚歴18年のmiyachikaです。

『ネパールの冠婚葬祭 村でお義父さんの喪に服す その1 13日に及ぶ儀式と使えない嫁編』では、ネパールの村での13日に及ぶ葬儀の8日目までについてのお話をさせていただきました。

今日はその続き、9日目から12日までのお話です。

 

【注意】

まず、お断りしたいのは、私の経験は、ネパールのグルミ郡タムガス地方に住む、ヒンズー教徒のマガール族の葬儀についてです。

ネパールは多民族国家の上に、宗教も様々で、同じ民族でも住む地域が違えば、風習は様々です。

ですので、私の体験がネパールの喪についての全てのネパール人に当てはまるわけではないことをご了承ください。

 

 

 

ギューを持って入れ替わり立ち替わり親戚がやってくる

 

9日目は朝からせわしない日でした。

今日から嫁も喪に服すのです。朝から何も食べてはいけないと言われ(水も口にしてはいけない)、午後のお清めの水浴びの時間までは、台所仕事に追われていました。

 

9日目は、親戚が、ギュー(ネパール風無塩バター、インドではギーと呼ばれるもの)や砂糖やロキシー(自家製の蒸留酒)を持ってくる習わしになっています。朝からあちらこちらの村から親戚の代表が入れ替わり立ち替わりやってきます。

近隣の村といっても徒歩、2時間とか3時間とか歩いてくることはざらなので、彼らにお茶や食事を振舞わなければならず、そのために朝からずっと台所仕事に追われていたというわけです。

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これ、日本で言えばお香典のようなものなのでしょうかね? 誰が何を持ってきたかは、全部帳面に記録され、13日の儀式の後のお振る舞いの時にお金で返される(香典返しのようなものか?)ということでした。

一番多かったのはギューでしたが、それは塩抜きの食事の期間はギューが欠かせないし、13日のお振る舞いには、お客様全員にギューを配らなければならないからです。なにしろ、13日には200〜300人くらいの人が来るらしいので、必要なギューの量も半端ないのです。

 

ここは村なので、ギューは店で買うものではなく、各家庭で手作りするもの。それが小さなツボに入れられ、葉っぱの蓋と、手でよった細い紐で作ったとってがつけられています。素朴でなんだか可愛らしいお香典です。

 

 

歩けない嫁に呆れるお義姉さん

 

空腹のまま、来客にお茶や食事を出し、その皿洗いをすることに追われていると、ついに、お義姉さんから、水浴びに行くから支度をしなさと声がかかりました。

付き添いとして、隣の家のおばさんが一緒に行くということ。何しろ、水浴びした後は、ご飯を食べ終わるまで、人に触れてはいけないし、鶏に触れてもいけません。そういうわけなので、人払い、鶏払い、牛払いとして、水浴びに行く時には、付き添いがつくのが習わしなのです。

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しかも、この水浴びは、お清めの意味があるため、汲み置きした水ではだめで、湧き水が湧いているところまで行かねばなりません。それも、裸足でないとだめなのです。

これが、私にとっては一番の難関でした。何しろ、いつも靴を履いているひ弱な日本人の足の裏の皮膚は、とってもとっても薄いのです。

それに比べ、お義姉さんの足の裏の皮ときたら、ゴム草履の底なみにしっかりと固く、道端に少々石ころが転がっていようが、へっちゃらですいすい歩くのでした。

その後ろを、いたたた、なんて騒ぎながら、ぎこちなく歩く、私。

『あんたと一緒だと日が暮れる』とまたまた、お義姉さんに呆れられてしまう私でしたが、痛いものは仕方ない。そして、水場までは、10分以上の道のりなのでした。

 

 

布一枚でずっと過ごすってどうなの?

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裸足じゃなきゃ、10分で着くであろう水場まで倍近い時間をかけて到着したお義姉さんと私。水場には、男の子が洗濯をしていました。

いや〜、まじで、この公共の水場で水浴びですか? と思うも、ここまで来たらやらないわけにもいかず。こういう機会でもなければ、ぜーったいにすることはなかったろうなあと思いますけどね。

ルンギといわれる、筒型の布を、胸から下に巻きつけた格好で(風呂上がりにバスタオルを胸から下に巻きつけたような格好になります)、水を浴びます。湧き水なので、思ったよりは冷たくなかったのですが、しかし、水は水です。これ、真冬だったら、無理だったろうなあ…。

 

13日が終わるまで、シャンプーも石鹸も使ってはいけないということで、洗うというよりは、水を浴びる感じです。

 

そして、水浴びの後は、4メートルくらいの茶系のコットンの布を渡され、それを着ろと言われました。

というか、その布以外は、頭に巻く布(夫の兄の前では、嫁は髪を隠さないといけない決まりなので、これは喪中でも必要なのだそうだ)と防寒のためのショール以外は、一切がっさい、髪をくくるゴムですらつけてはいけないのだとか。

しかし、着ろと言われても、ただの長い布です。サリーの時のようにペチコートも何もない状態で、どうやって着るの? とオロオロしていたら、見かねたお義姉さんが、そんなこともできないのかという顔で着せてくれました。

 

なんとか着れたのはいいのですが、でも、これって、なんか風呂上がりにバスタオル巻いた姿とあまり変わらないんですけど。

しかも髪もボサボサだし。

この状態で13日まで過ごすとは、やれやれ、けっこう厳しいです。

 

でも、恥ずかしいと思う余裕もなく、家までの帰りの道のり、小石だらけの村の道を痛い痛いと言いながら、歩くのに必死の私でありました。

 

 

やっと口にできたのは、バナナチップスのみ

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やっとの思いで家に着くと、待望のその日の食事が待っていました。

何しろ、朝から飲まず食わずで動きっぱなしでしたから、かなり腹ペコです。

さて何が食べられるのだろうと、待っていたら…、

 

ジャジャ〜ン、なんと出てきたのは、一皿のバナナチップスでした。

 

まだ青いバナナを薄い輪切りにして、ギューで揚げたものです。このバナナチップスとお茶だけが9日目に口にできるものということ。

 

少なすぎる

でも、何も食べれないよりはマシです。

一皿のバナナチップスを大事に味わっていただきます。

 

これを食べ終わったら、明日の水浴びまで、私たち嫁は、人や鶏に触れてもいいし、家の仕事をすることも許されます。

でも、着ているものはといえば、一枚の布だし、足はずっと裸足のままで、次の日まで何も食べられないし、しかも、布団に寝ることも許されません。

13日までは、わらで編んだグンドゥリといわれる敷物の上に寝ます。かろうじて毛布一枚かけることは許されるらしいのですが、これ、冬でもこうなんでしょうかね? 喪に服して風邪を引いちゃう人はいないのかと、変なことを気にしながら、眠りについた私でした。

 

 

ギューと砂糖のご飯でも、食べれることに感謝

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10日から12日にかけては、同じような日が続きます。朝起きて、午前中は、お茶を入れたり、子供や孫たちのご飯を作ったり、家の用事をたんたんとこなします。

特に大きなイベントはないのですが、毎日、9日と同じように、水浴びをしなくてはなりません。9日と違うのは、水浴びの後、家の外で火を起こし、自分たちでご飯を炊かなくてはいけないというところ。

かまどがあるならまだしも、何もないところで薪をうまく積み上げ、火を起こすだけでも私には大変。結局、作るのは、もっぱらお義姉さん頼りです。

『まったく、何の役にも立たないんだから』とぶつぶつ言いながらも、トウモロコシを焼いたものを、私に先に食べさせてくれるお義姉さん。口は悪いけど、根は優しい人なんです。

食事に使えるのは、小さなタライのような鍋ひとつ、これでまずお茶を作って飲みます。お茶を飲み終わったら、それで、ご飯を炊きます。ご飯を炊きながら、火の横でトウモロコシを焼きつつ、食べつつです。

そして、ご飯が炊きあがったら、それにギューと砂糖でそのご飯をいただきます。たったそれだけの食事ですが、前日バナナチップスのみの身みには、それでも十分おいしいのです。

とにもかくも、食べれることに感謝です。

裸足で足が痛くたって、今、生きていて、ここを歩けることに感謝です。痛みを感じるのも生きているからなんだよね。なんて、布一枚巻きつけただけの、原始的なスタイルでいると、なんだか人生語りたくなっちゃうんですよね。

この村で生まれて、生きて、死んでいく人々の暮らしを思いながら、私たち日本人が忘れてしまったものが、まだここにあることを感じながら、しみじみと人生の無常を思うmiyachikaなのでした。

ところで、この時の食事に使う食器は、葉っぱを細い竹串で縫い合わせて作った自家製のお皿です。そして、これらの食器は、使った後は、家の近くに穴を掘って埋めなければならないのだそうです。

お義母さんや、お義兄さんたちの食器を埋める穴はすでに掘ってあるのですが、嫁の食器用の穴は、何故か、また別に掘らなければいけないということ。

ほんと、いろいろ、面倒な決まりがたくさんです。でも、こういうのって、村だからできるのかもしれません。

 

 

そして、いよいよ13日の最終日を迎えるのですが、長くなってしまいましたので、今日は、このあたりで。

続きは、『ネパールの冠婚葬祭 村でお義父さんの喪に服す その3 隣組あっての儀式と、なんとかやりきった日本人嫁編』をご覧ください。

では、今日は、これでナマステ〜。

 

 

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