商業ライターの心得と目指すべき方向
こんにちは、ネパール在住、フリーランスライター『みやちか』です。
ライターをしているというと、なんだか、すごい、自己表現をして稼いでいるように思われがちですが、実際問題、全然そんなことはありません。
いわゆる小説家や作家さんと呼ばれる人と、私のような編集者から依頼を受けて仕事をするいわゆる商業ライターは、同じ文章を書く仕事でも、まるっきり違うものです。
私自身、自分のブログを書く時と、仕事で書く時のスタンスも、まるっきり違います。
簡単にいえば、商業ライターとは、依頼者の代わりに文章を書く人のこと。
今日は、商業ライターを目指す人のために、私が経験から学んできた、商業ライターが原稿を書く時に、必要な技術や心得を紹介していきたいと思います。
商業ライターとは何か?
ここでいう、商業ライターとは、お金をもらって、依頼主(編集者や企業の広報部など)の代わりに、依頼主が伝えたいことを書く仕事をする人のこと。
オーダーメイドの文章屋さんみたいなもんです。
書く媒体はいろいろで、雑誌や、会社案内、お店のパンフレット、カタログなどの紙媒体もあれば、通販サイト、各種情報サイトなどのウェブ媒体の場合もありますが、いずれにしても、基本的なことは変わりません。
クライアントさんが(依頼主)が言いたいこと、伝えたいこと、表現したいことを、限られた時間内に、文章で表現してあげるのが、商業ライターの役目です。
作家との違いは?
作家と呼ばれるような人たちは、自分の意見や、世界観を文章で表現してお金を得ています。それが、作家や、小説家、エッセイストと、商業ライターの決定的な違いです。
彼らにしても、編集者と相談しながら、方向性を決めたりすることはあります。でも、誰かの代弁者ではありません。
あくまでも、彼らの考え、アイデア、想い、モノの見方を文章で表現するのが仕事です。
商業ライターの書く文章の主語は?
商業ライターが依頼される記事の種類は様々です。
商品の紹介記事、お店の紹介記事、会社の紹介記事、インタビューで誰かの意見や考えをまとめる記事、講演会の要約記事、取材して人やモノにまつわり物語をまとめる記事、与えられたテーマにそって資料を集めてまとめる記事など様々です。
会社員時代は、◯◯店のナンバーワン販売員さん紹介記事とか、店長さんインタビュー記事とかよく書いたものです。
きもの屋さんから頼まれて書くことも多かったので、『大島紬の歴史と魅力』とか、『ひな祭りの由来』など、調べて書く記事もありました。
時には、振袖カタログのキャッチコピーを書くこともありました。
会社員時代は、いろんな記事を書きましたが、基本的に商業ライターの書く文章の主語は、自分であってはいけません。
クライアントさん、あるいは、取材対象者が主語になるか、客観的な視点からの文章が求められます。
商業ライターを目指すなら心得ておきたいこと
クライアントさんのためのオーダーメイドの文章作成家である商業ライターを目指すなら、これだけは、押さえておきたい3つの心得を、まずはご紹介します。
クライアントの伝えたいことを表現する
クライアントが自社の新店舗オープンを宣伝したいと思っているなら、その店の魅力を文章にする。肌荒れに効果的なクリームの紹介をしたいと思っているなら、なぜそのクリームが肌荒れに効果的なのかを伝える文章する。あくまでも、自分は、クライアントの代弁者であることを忘れてはいけません。
わかりやすく正しい日本語で書く
初心者のライターがまずは心がけるべきことは、わかりやすさと、日本語としての正しさです。
クライアントが伝えたいことを、そのままの言葉で書くことがベストでない時もあります。時には、読者のわかりやすい言葉にかみくだいて、わかりやすく説明してあげることも必要なのです。
また、日本語として正しい漢字、正しい『てにをは』を使うことを、まず心がけましょう。当たり前ですが、この当たり前ができてないと、次のステップに進むことができません。
ターゲットに向けて書く
クライアントが伝えたいのは誰なのか、ターゲットをしっかり押さえましょう。小さい子供がいる主婦向けなのか、婚活している30代男性向けなのか、終活を考えているシニア向けなのか、中小企業の社長向けなのか、恋愛に悩む高校生向けなのか。
時には、そのターゲットに合わせて、文体を変える必要もあります。男性っぽく、少し固めの文章にしたり、高校生向けには、フレンドリーで語りかけるような口調にしたり、掲載媒体それぞれにふさわしい文体があるのです。
それを考慮して、文体を使い分けられるようになるのが理想です。
商業ライターは、常に二人の顧客を意識すべし
お金をもらって文章を書くなら、上記の3つのポイントは絶対に外せないポイントです。
が、編集者やクライアントの指示通りの記事を書けるだけでは、まだまだプロとはいえません。
プロの商業ライターは、クライアントを満足させると同時に、読者をも満足させる文章を書くものです。
ライターの顧客は常に二人いるのです。
ライターの書く文章にお金を払ってくれるのはクライアントですが、その文章を読むのは読者です。この両者を満足させる文章を書いてこそ、一流といえます。
- クライアントが潜在的にもっているが指示として表面に出てない部分まで汲み取って表現してあげること。
- クライアントが重要視してないが、読者から見たら魅力的な部分があれば、それをクローズアップしてあげること。
- クライアントが見落としている、読者が求めているモノや方向性を逆に提案してあげること。
プロと言われるようになるには、ライター自身も、自分の企画、提案力を磨いていく必要があるように思います。
そして、それが、スキルアップにつながり、収入アップにもつながる道だと思うのです。
まとめ
最後にまとめると
『商業ライターとは、文章のオーダーメイド屋さん。お客様の伝えたいことを、お客様のかわりに文章にしてあげる仕事』
決して、自己表現のための文章であってはなりません。
クライアントの伝えたいことを、わかりやすく、正しい日本語で、ターゲットに合わせた文体で書くことが求められます。
さらに、クライアントと読者の両方を満足させる文章を書いてこそプロと言えます。
そう、考えると、ライターとは、つくづく職人的な仕事なんだよな〜と思います。クリエイティブだって? とんでもない!って感じ。
ただ、たとえ、主語を自分におかなくても、切り口や視点から、その人の色というものは、多少、出てくるものなんです。
それが、選ばれるライターになれるかどうかの境目かもしれません。
そして、普段、自分を主語にしない文章ばかり書いていると、私みたいな目立ちたがり屋にとって、ストレスがたまります。
そんなストレス解消の場が、このブログなわけで、私主語で、私体験談がメインの記事が大半を占めるのも、そのせいなのです。