【ライター初心者向け】元業界誌編集者が語る、インタビュー記事の書き方徹底研究
こんにちは、ネパール在住、フリーランスライターみやちかです。
今日は、先日書いた『取材の掟』の続きとも言える、インタビュー記事の書き方についてご紹介したいと思います。
厳密にいうと取材はインタビューのことだけではありませんが、初心者にとって、最もハードルが高く、かつ書いてみたいと憧れるのがインタビュー記事ではないでしょうか?
そして、インタビュー記事が書けるようになると、ライターとしても、活躍の場はぐんと広がります。
また、ブロガーにとっても、インタビュー記事が書けるようになれば、ブログの独自性がアップしますし、コンテンツに深みが出ます。
そこで、今回は、元業界誌編集者で、毎月何本もの取材記事を書いてきた(そして、先輩のダメ出しを嫌という程食らった)みやちかが、インタビュー記事の書き方についてご紹介したいと思います。
取材のポイントをまとめた記事はこちらをご参照ください。
インタビュー記事の形式は3種類
インタビュー記事というと、まず思い浮かべるのが、対話形式のものではないかと思います。
宮本 実は7年前、飛び込み営業されましてね。その方、日本人の方だったんですが、ネパールに年の半分は暮らしていて、ネパールの農家さんと一緒にコーヒー豆を栽培している方で。その方が、ぜひ、うちのコーヒー豆をこの店においてほしいと言われまして。
ーそれで、取引を開始なさったのですね?
宮本 いや、それが、焙煎のクオリティが悪くて、とてもうちでお客さまにお出しできるようなものじゃなかったんです。
上記は宮本さんという方への取材で、インタビュアーが質問して、宮本さんが答えるという対話形式で話が展開していきます。
でも、この対話形式だけではなく、インタビュー記事の書き方は、大きく分けると3つあります。
それぞれの形式の特長が違いますので、この3つを用途に合わせて上手に使い分けましょう。
対話形式
まずは、最初の例にあげた対話形式でインタビューしたものを文章にするというもの。
これが、取材時の雰囲気がもっともよく伝わるものになります。
会話だけで話が進んでいきますので、読者もテンポよく読むことができます。
とはいえ、インタビューをまるっとそのまま再現するわけではありません。その辺りのことは、また後で詳しく触れたいと思います。
一人語り形式(モノローグ)
取材対象者に「私」という一人称を使って語らせる方法でインタビューした内容を文章化するもの。
実際の取材は、対話形式と同様に、インタビュアーの質問に答える形で進めます。
ただ、書く時に、インタビュアーの存在を消し、取材対象者が読者に向けて語りかけるように書いていきます。
ネパールに年の半分は住んでいるという日本人が、ネパールのコーヒー豆を持って、飛び込み営業をかけてきたんです。
ネパールの農家さんと一緒に栽培しているコーヒー豆だそうで、それをうちで取り扱ってほしいというんです。
実のところ、かなり困りました。とてもじゃないけど、その焙煎のクオリティでは、うちでお客様にはお出しできないと思いました。
取材対象者の個性や想いを対話形式よりも、ストレートに表現できる形式です。
ルポルタージュ風
対話でもなく、モノローグでもなく、例えば、新聞記事のような形式といえばいいでしょうか?地の文章があって、間に取材対象者の意見やコメントが入ってくるような書き方。
例えば、
「いきなり、ネパールのコーヒー豆を買ってほしいという飛び込み営業にあったんです。なんでも一年の半分はネパールに住まわれている方で、ネパールの農家さんと一緒にコーヒー豆を栽培していて、その豆をぜひうちで扱ってほしいと言われるんです」
が、そのコーヒー豆は、宮本さんの納得できるような焙煎ではなかったと言います。
「いや、参りました。このクオリティではとてもうちでは扱えない、そうお伝えしたら、数ヶ月後にまた、やってこれられて、今後はこの生豆ならどうだというんです」
こんな風に、地の文章に取材対象者である宮本さんの声をプラスするという書き方もあるんです。
この形式の良いところは、記事に客観性を持たせられるということと、書き手の考え方を地の文章で反映しやすいというところです。
ポイント
取材対象者の想いや人柄を前面に出しやいなら、モノローグ。
取材の雰囲気を大切に、テンポよく読ませたいなら対話形式。
客観性を持たせたい、インタビュアーの意見を反映させたいならルポ形式。
インタビュー記事を書くときのポイント
形式が決まったところで、さあ、実際に書いてみましょう。
ただし、インタビュー記事というのは、取材そのままの再現記事ではありません。
取材のテープを一字一句そのままに起こした記事なんて、とてもじゃないけど、そのまま掲載できるようなものじゃありません。
文法はめちゃくちゃ、話は前後に飛んでるし、話題が、横道に何度もそれるし…。
そうなんです。
インタビュー記事というのは、取材したことを材料に、ライターによって、構成し直された文章なんです。
それを踏まえた上で、下記のポイント抑えてくださいね。
取材後、できるだけすぐに書け
記事は、取材の記憶が新鮮なうちに書きましょう。
録音しない派ならなおのこと。
まとまった時間が取れない場合は、全体の簡単な構成(タイトルと見出し)だけでも作っておきましょう。
全体の構成例
見出し 宮本さんとネパールコーヒーの出会い
見出し はるばるネパールの農家へと足を運ぶ
見出し ネパールコーヒーの焙煎での苦労話
見出し 自分のコーヒー農園をネパールにという夢へ向けて
取材で出てきた話題から、テーマに合わせて取捨選択
全体の構成を考える上で、取材で話題になった全てのことを網羅しなければならないということはありません。
今回の取材のテーマに合わせて、内容を構成します。
でも、少しくらいは、横道に外れた取材対象者の人柄がわかるような、エピソードはあってもいいですね。
その辺りの取捨選択がライターのセンスです。
取り入れたいエピソード例
話し言葉を書き言葉に変換せよ
話し言葉をそのまま文章にすると、読みづらいことはよくあります。
接続詞を多用する、独特の語尾を多用するそんな話し手の独自の癖もあります。
また、話している時って、主語と述語が噛み合わないってことも多々あります。
話しながら主語が、途中からすり替わっちゃうんです。
でも、こういう話言葉独特の文体は、原稿にするときには、ちゃんと書き言葉に変換してあげればいいだけ。
インタビューだからって、相手の一語一句を再現しなきゃいけないわけじゃないんです。
その人の雰囲気はなるべく壊さずに、書き言葉に変換してあげましょう。
取材対象者の一語一句にとらわれるな
取材対象者の一語一句を再現する必要はない、と言いましたが、それ以上に大事なことは、取材対象者が本当に言いたいことを読み取る能力。
取材対象者だって、緊張して、上手に思っていることをしゃべれてないことは多々あります。
取材時にうまい言い回しができないとか、ぴったりくる言葉が見つからず、微妙に違うニュアンスの言葉になってしまうってことはよくあるんですよね。
だから、取材対象者の一語一句に囚われるよりも、取材対象者が言わんとすることは何なのか、そちらにフォーカスしてください。
さいごにまとめるよ~
今日は、インタビュー記事の書き方についてまとめてみましたが、参考になったでしょうか?
最後に今回のポイントをまとめてみました。
- 取材対象者の想いや人柄を前面に出しやいなら、モノローグ。
- 取材の雰囲気を大切に、テンポよく読ませたいなら対話形式。
- 客観性を持たせたい、インタビュアーの意見を反映させたいならルポ形式。
インタビュー記事を書くときのポイント
- 取材後、できるだけすぐに書け
- 取材で出てきた話題から、テーマに合わせて取捨選択
- 話し言葉を書き言葉に変換せよ
- 取材対象者の一語一句にとらわれるな
インタビュー記事もまずは書いてみること。
経験に勝るものなし!
まずはトライあれ~!