2017/06/06

憲法改正後、初めての選挙実施も、やっぱり『これぞネパール』なのでありました!

 

 

ナマステ~、お久しぶりです、ネパール在住、フリーランスライターのみやちかです。

今日は、久々にネパールネタを書いてみたいと思います。

さて、政治に熱い国、ネパールでは、選挙は一大イベントです。

ネパールに住み始めて思ったことの一つが、日本に比べると、ネパール人って政治に対する関心が高いなってこと。都会の知識人や学生はもちろん、村の農家のおじさんたちでさえ、政治の話題は大好物。

 

そんな、ネパールで、2017年5月14日、2015年の新憲法公布後、新たに編成された地方自治体の長を決める全国一斉地方選挙が実施されることに。

そして、そして、ああ、やっぱりで、期待を裏切らないのがネパールです。

今回の選挙でも、何事も計画通りにいかないネパールの課題、体質のようなものがあちこちに見られたのでありました。

 

なお、ワタクシ、みやちかは、政治評論家でもなく、ジャーナリストでもなく、ネパール在住20年の一介のフリーランスライターであり、この記事は、ネパールに住む一般庶民にすぎない外国人の選挙をめぐる個人的感想にすぎないことをお断りしておきます。

 

 

今回の選挙は、地方自治体のトップを決める地方選挙

 

今回の選挙について述べるには、近年のネパールの政治の流れを説明せねばならないでしょう。

2001年の王室乱射事件以来、政治の混乱が顕著になったネパール。その後内戦状態が数年続きましたが、国王が国民に政権移譲する形で内戦が終焉したのが2006年の春でした。

それまで王国だったネパールが、ここから、国民主権の国家として、新たな歩みを始めることになりました。

その後、新たに憲法を制定するための、憲法制定議会の議員の選挙が行われたのが2008年のこと。

その後、当初4年の予定を大幅に延長し、7年の月日をかけて憲法の制定について議論が交わされ、2015年9月20日、正式に新憲法がやっとこさで公布。

7つの州をもつ連邦民主共和国としてのスタートを切りました。

 

その新しい憲法にのっとり、新たに編成された自治体(ネパール語でナガルパリカ,

英語ではmunicipality)の市長および副市長、各地方自治体を構成する区(ネパール語でオラ、英語でward)の長と委員4名の合計7種類のポストを選出するのが今回の地方選挙です。

 

 

全国一斉に実施されるはずだった地方選挙ですが…

さて、今回の地方選挙は、当初、全国一斉に実施されるはずでした。

そういう計画でした。

 

が、計画通りにいかないのが、ネパールです。

予算の問題をはじめ、新しい自治体の区分けに納得できないタライエリアの民衆の同意が得られてないことなど、様々な問題により、当初の予定を変更。全部で7州あるうちの、カトマンズを含む丘陵地帯と山岳地帯である3、4、6州においてのみの実施となってしまいました。

 

それでも、なんとか3つの州だけでも実施されたことをよしとしなければならないかなあと思わせてしまうのがネパールです。

私なんぞは、もしかして、ズルズルと選挙がさらに先送りされてしまうのではないかと(実際、当初の予定よりは先送りされておりますが)危惧しておりましたから。

ちなみに残りの1、2、5、7州に関しては、6月14日に改めて選挙が実施されることになっています。

 

※2017年6月5日時点において、残りの選挙日程については、6月14日の実施は難しいということで、2週間ほど先に延期されています。が、さらに押せ押せになる可能性もなきにしもあらずです。といういうことで、こういうところも、さすがネパールなんですが。

 

選挙当日は、選挙関連車両以外の全ての車両の走行が禁止って、日本じゃ考えられません

 

ネパールにおける投票日は、日本でのそれとまるきり違います。

日本では、投票日はまず、日曜日に設定されています。選挙のために会社や学校を休む必要がないように、初めから休日に設定されているのでしょうね。

 

今回のネパールでの選挙も5月14日の日曜日でしたが、ネパールでは、日曜日は休日ではなく、平日。普通に学校やオフィスは開いています。

じゃあ、会社員は選挙に行けないの?というと、そうではなく、選挙の日に限り、すべての学校や会社はお休みとなります。

役所も当然休みです。まるでバンダのような町の雰囲気です。

(バンダについては、「ネパールに行くなら知っておきたいネパールバンダというストライキのこと」をご参照ください)

 

しかも、選挙における不正行為の防止や治安の維持のため、選挙当日は、選挙関連車両以外の全ての車両は運行禁止です。バスやタクシーの公共の交通機関はもちろん、個人所有のバイクや車も走行できません。

徒歩で行ける範囲に投票所は設定されていますので、投票する人は徒歩で投票所に向かうということになります。

 

いやいや、選挙のために、日常生活にここまで不便を強いるところが、さすがネパールの選挙です。

日本人から見たら、選挙で車の走行が禁止なんて、考えられないけれど、ネパール人は、選挙とはそうものだと思っているのかもしれず、とくに文句を言う人もなく…。

でも、それだけ不正行為が多いと言うことなのかもしれませんね。

 

 

識字率の低いネパールでの投票は、記入式ではなく、スタンプ形式

 

ところで、ネパールでは、投票権を持つのは、ネパールの国籍を持つ18歳以上の国民とされています。ただし、投票するには、選挙投票資格カードが必要です。

このカードは、事前に、自身のナガリタ(シチズンシップを有することを証明するカード、日本の戸籍に相当するもの)の住所のある自治体に申請し、発行してもらう必要があります。村出身者などは、カード発行のために村に帰る必要があるため、今回発行が間に合わず、投票できなかった人も案外多くいるようです。

 

もちろん、投票も、自分のナガリタの住所の地区の投票所に行かねばなりません。

そのため、選挙の前は、カトマンズ発のバスは帰省ラッシュで大混乱したようです。

(そして、一度村に帰省すると、なかなか戻ってこないのがネパール人。知り合いの縫製工場は選挙後1週間経ってもミシン職人が帰ってこず、納品が間に合わないと嘆いていました)

 

で、このカードを持って、当日、投票所に向かうのですが、まだまだ識字率の低いネパールでは、投票は記入式ではなく、スタンプ式になっています。

投票用紙には、各政党のマークが印刷されており、投票者は投票したい政党のマークのところにスタンプを押すという仕組み。

立候補者の名前ではなく、政党のマークなんです。

だから、選挙運動には、やたらと政党のマークを印刷したチラシやポスター、旗が見られます。もう、町の至るところに様々な政党のマークが、これでもかっていうくらい溢れてました。

 

ちなみに投票は午前7時から午後5時まで。なお、投票すると、投票済みの印として、右の親指の爪に黒いインクがつけられます。これには、二重投票を防ぐ意味があります。

 

 

あまりにもスローな開票

もっと揉めるかと想像していましたが、問題の多いタライエリアでの選挙が6月に先送りされたせいか、想像したよりもずっと穏やかに選挙が終わったなと言うのが、私の印象です。

まあ、多少の爆弾騒ぎや、あってはならない殺人事件も起こってしまいましたが、国全体を巻き込むような騒動には発展しなかったと言う意味での『穏やか』です。

 

ちなみに今回の立候補者は約5万人うち、4割が女性であることに驚きです! 女性にも一定の割合でポストを与えることが制度として規定されているためですが)。

そのうち選出されるのが約13500人で、有権者は500万人。投票所は約6500箇所もありました。

そして、開票は、紙の投票用紙を人がカウントしていくという方式です。

時間がかかるのも仕方ないのかもしれません。

 

しれませんが、しかし、それにしても、遅いです。

選挙より1週間以上たった今日も、全地区の結果が揃えっていないと言う状況。

私が普段、住んでいるポカラは、不正票が見つかったとかなんとかと言う理由で開票が途中で中断されてしまっているし。さて、どうなるんでしょうね~。

 

まあ、しかし、20年もネパールに住んでいれば、これしきのことでは驚きません。と言うか、むしろ、スムーズに開票できちゃったりした方が驚いてしまうでしょう。

 

 

なぜ、ネパール人は政治への関心が高いのか?

 

それにしても、ネパール人って、日本人よりも、ずっと政治に関心が高いなあと思います。

それは以前から思っていたことですが、今回も、4月後半から今に至るまで、あっちもこっちも選挙が話題になっています。

 

でも、なぜ、こんなにも政治への関心が高いのでしょう?

 

その理由は、人の繋がり、社会との繋がりが深くならざるを得ないネパール社会にあるのではないかと私は思っています。

 

村なんて、本当に、人間関係が濃いですもん。誰がどこの人か全員が知っているような環境ですよ。1学年30人で、全校生徒100人に満たない高校のような濃さなんです。

誰がどこで誰と何をしたか、村全体にわかっちゃうような環境で、しかも、長いものに巻かれちゃう傾向が強い人々が多いときた。

そんでもって、その小さな社会の中で、派閥闘争が常におこっている感じ。

こんな状況の中では、誰が生徒会長になるかで、学園生活の快適さも変わってこようというものです。

 

どの政党が勝つかで、日々の生活が変わってくるという現実。それゆえに、皆、政治への関心が自然と強くなるのだと思います。

 

 

地方選の残り、その次は州議会選挙、その後の国会議員の選挙と、先はまだまだ長いのでありました

 

さて、今回の選挙は、想像したような大混乱は起こらずに、比較的平和に終わりましたが、まだ、安心はできません。

1、2、5、7州の地方選を残しているからです。

そして、問題が起こるとしたら、この残りの地区なのです。

 

しかも、この地方選挙の後は、州議会選挙が行われるはずですし、さらに、国会議員の選挙もその後に控えています。

当初、選管は、一年の間に国会議員の選挙までを終わらせる計画を発表していました。

しかし、今回の地方選挙がすでに、遅延しており、さらに、まだ半分以上の地区を残していることなどを考えると、まあ、あと数年かかるもしれません。

 

う~む。それでも、カタツムリのような歩みだとしても、少しでも先に進んでいるのであれば、まあよしとするべきなんでしょうね。

何れにしても、私は、選挙権のない外国人。ネパール人が自ら選ぶネパールの進む方向に従うしかないのですから。

 

 

 

 

 

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Comment

  1. まりさん より:

    すごく参考になりました、、、。うちのスタッフたちもみんな帰村。そして帰ってこず。。うちの祖父の代の選挙みたいです。読んでいて、なるほど〜と全体の様子がわかりました!

    全国だっていってたけど、え、終わってないんだあ、と。周りが熱くなりすぎて地元情報しかみてなかった! しかし、長すぎ!!いろいろストップしすぎ〜!ですよね。

    いや、生徒会長選挙、まさに!!第3州で身内が選挙にでてたので、、、。なんていうか〜〜、、わかるし、結果もガクッとくるような人がガクッという感じで勝ってるし。

    ツッコミどころ満載のとこを普段は一人でへー、と見ているのがみやちかさんのブログに書いてあるので、ほんとスカッとします。

    楽しみです!しかも勉強にもなる〜〜(^O^)/

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