2017/01/14

教育熱の高まるネパール、でも、その実情は暗記教育?

 

 

ナマステ〜、ネパールからmiyachikaです。

今日は、ネパールの教育事情について、うちの娘の学校の例も交えて、お話ししたいと思います。

が、ネパールの教育事情といっても、カトマンズやポカラといった都市部と僻地の村ではまるっきり状況が違います。

今回、お話するのは、あくまでもカトマンズやポカラの状況。村の教育事情については、また別の機会にお話ししたいと思います。

 

 

幼稚園から英語に九九、3時間分の宿題のネパール

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今から13年前のこと、うちの娘がポカラの幼稚園の年中さんに入った時、正直、日本との違いに驚きました。

幼稚園なのに、机に座って勉強させているのです。英語、算数の教科もあって、英語のアルファベットは年少さんでマスターします。年中さんから入った娘は、最初全然ついていけませんでした。

しかも、持って帰ってくる宿題は、計算問題に、アルファベットの書き写し。幼稚園児ですからね、一文字書くのだって、まだ大変なのです。それをいきなり英語。宿題を終えるのに3時間以上かかった日が何日もありました。

5歳の子供にとって、3時間以上の宿題というのは、苦痛以外の何者でもありません。それで、「そんなのやらなくていいから」と私は娘に言ったのですが、「やっていかないと、先生に怒られる」と娘は泣くばかり。

そこで、行きましたとも、幼稚園に! 殴り込み…いやもとい、抗議をしに。

私 「5歳の子供に宿題を出すなんておかしいんじゃないですか? だいたい年中さんから英語や算数が必要ですか?」

校長先生 「でも…、そうしないと、小学一年生に入れませんよ、また年中さんからやり直すだけです。それに今でも宿題少なすぎるっていう親御さんもいらっしゃいますし…」

私 「…」

 

いや、小学生にはなってもらわないと、困るでしょ…。

結局すごすご戻ってきてしまった私でした。

 

 

ネパールの私立と公立学校では、カリキュラムがまるっきり違う

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ちょっとここでネパールの私立学校と公立学校について補足しておきます。

現在、カトマンズやポカラを始め、都市部では私立の学校に子供を通わせる方がメジャーになってきています。都市でなくても、大きな町には最近は必ず私立の学校があります。

私立の学校は、小学校一年生から、国語(ネパール語)の授業以外は英語で書かれた教科書を使います。算数も、理科も英語で学ぶのです。だから、幼稚園の年中さんと年長さんである程度の英語を学んできていることが前提です。

また大抵の私立の学校には幼稚園部があって、そこからエスカレーター式に小学校にあがる子も多くいます。

そして一方の公立は、英語以外の教科は、ネパール語で書かれた教科書で勉強します。だから、入学にあたって英語力を問われることはありません。

じゃあ、小学生なんだから公立に行けばいいじゃないか、高学年になってから私立に行っても間に合うでしょと思うかもしれません。

が、公立の学校には、先生が来ない、教育レベルが低いなどあれこれ理由があって、都市部の親は無理をしてでも私立に子供を通わせます。だいたいネパール語の教科書で勉強していたものを、途中から英語に変えるというのは、かなり厳しい話です。

しかも、授業のカリキュラムは、私立と公立では同じ学年でもまったく違うのです。公立では10年制でやる内容を、私立では8年制で、すでに終わっていたりします。だから、公立で5年生だった子供でも、私立に編入するときは、学力の違いから3年制や4年制に入られたりするのです。

だから、やっぱり私立に行かせるなら一年生から私立なのです。

(ネパールの教育システムについて詳しい説明は、ネパールの教育システムの現状と課題 で紹介しています)

 

 

むりくり英語で、暗記させるだけのネパールの教育現場

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そんなわけで、ネパールでは、英語ができないと私立の小学一年生になれません。算数も、社会も、理科も全て英語の教科書。だから、小学一年生までには、日本でいえば中三程度の英語力は必要。というか、あってもなくても強引に英語で勉強させられちゃうのですが。

低学年の子は多分英語が十分にわからないから丸暗記になっちゃうんでしょうね。

一方の先生にも、教科書に書いていることを、上手に噛み砕いて教えるだけの英語力があるかどうかはあやしいところ。

だいたい、彼らが子供だった時も先生というのは、教科書を丸読みし、教科書を丸暗記させるだけの存在で、それ以外の教え方というのに接したことがないのだから、教え方を工夫しろと言う方が無理なのかもしれません。

だから、詰め込みの暗記教育になってしまいます。

とにかく、覚える、丸暗記する。算数さえも丸暗記。問題の答えも、先生が黒板に書き、それを丸写しで、テストの時、一字一句でも間違えると減点になり、例え言いたいことが同じでも、先生とは違う表現をした時点でバツになってしまいます。さらに、先生の答えが間違っていて、生徒が正しい答えを書いたとしても、先生の答え通りでないとバツなのです。

自分の意見を言う隙間さえもありません。

少しでも私見が入ろうものならバツ。

これでは、誰も 自分の意見を言おうとはしなくなるでしょう。

自分の意見を持つことさえも、ついにはしなくなるかもしれません。

しかも、一部のお金持ち私立学校(私立といってもピンキリなのです)を除けば、授業科目はお勉強科目のみ。音楽とか美術とか体育とか家庭科とかありません。(アートいう名の塗り絵、写し絵的な授業は申し訳程度にありますが、決して美術と呼べるレベルではありません)

これでは、想像力や、創造力や、判断力などがつくはずがありません。

いわゆるお勉強はできるが応用力のない学生を多く生み出してしまうのではと危惧するのは私だけではないと思いますが…。

 

 

ネパールの学校では、テストの解答率の%とクラスでの順位が発表される

 

こんなネパールの学校に不満はありましたが、行かせるなら公立という選択肢はあり得なかったので、泣き泣き宿題する娘をなだめすかしながら、なんとか私立の学校に通わせました。

学校に行かせないで、親子で家庭で勉強するという選択もあることにはあると思うのですが、実菜の父親(カトマンズの学校で校長先生しています)は反対しましたし、私も仕事をしていたのでやはり学校に通わせることにしました。また、娘の性格を考えた場合、無理やりでもネパールの子供社会の中に放り込んだ方がよいのではと思われたということもあります。

学校は幼稚園以上に、詰め込みの暗記教育で宿題は毎日、4〜5時間分はたっぷりと出されました。

しかも試験の度に、回答正解率が%で細かく表示され、クラスでの順位もテスト結果表に毎回しっかり表示されます。

35人中7番とか、35人中35番とか…。かなりシビアです。

競争心をわざと煽っているようなところさえありました。

でも、それは、やはり、私立の学校がボランティア活動ではなくて、ビジネスだから仕方ないのでしょうね。

私立の学校が運営できるかどうかは、生徒が集められるかどうか。生徒が集まるかどうかは、この学校に行けばいい成績が取れるかどうか。

それが数字で表現できるのが、SLCという全国統一テストで自校の生徒がどれだけいい点をとれたかどうかということ。

学校のゲートにSLC80%以上の生徒5名とか毎年掲げられるのはそのためで、卒業生のSLC得点率を上げることが、学校のビジネスとしての成功につながるために、勉強、勉強、また勉強というような状況が生み出されているのです。

 

 

ネパールの教育の方向性を考え直す時期に

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ほんの30〜40年前なら女は学校に行く必要ないとさえ言われていたネパール、それが打って変わって、ここ20〜25年の間、教育熱は高まるばかり。女の子ももちろん学校にあげるのが当然になっています。

ただ、熱を注ぐ方向がよくわかってない大人があまりにも多いように思います。

できるだけ早く学校に行かせた方がいい、できるだけたくさん覚えた方がいいという風潮があり、私立の学校では10年生で、海外の12年生のカリキュラムまで終わらせてしまう勢いです。

ただ、今のネパールの教育の仕方だと、暗記は得意だけど、自分の意見を言えない学生を多く作ってしまうことも事実です。これでは海外の大学に行って、海外の社会に出た時に通用しません。

海外の社会では、あなたはどう思うのか、どうするのがいいと思うのか、あなたが思う打開策は何かという、ネパールでは一切問われることがなかった部分が問われるからです。

海外の大学へ行く若者が急増のネパールですが、海外に出た彼らはそれを自分の肌で実感しています。そういう彼らの声が、少しずつこれからのネパールの教育を変えていってくれるのではないかと期待するばかりです。

 

 

 

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Comment

  1. まりさん より:

    なるほど〜〜。英語を小学校から学んでいるわりには、高校終わってもこの程度のレベル?というのはそういうことなんですね〜〜、、、。先生の質、、もわかります。。。海外の学校にいってましたが、科目はほんとにゆるやかだったし、、日本の高校にいって日本人の進学校の高校生のすごさをしってびっくりしました。いずれにしても、個人努力が必要になるんですね。海外の高校に娘さんをいかせたの、素晴らしいと思います。私もそうすると思います、、、私も寂しさにたえれるかな〜〜、いつかくるんですね、そのときが。

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