ネパールに移住するなら知っておきたい、年々高騰し続けるネパールの土地事情
ナマステ〜、ネパール在住20年、こんなに土地が高騰するなら買っておけばよかったと後悔するmiyachikaです。
そうなんです。
ネパールは未だに、バブルってます。
2015年には大きな地震もあり、経済が停滞したため、
土地の高騰も止まるかなあなんて、考えは甘かった。
ポカラなんて、新しく国際空港を建設中(といいつつなかなか進まない)なもんで、
さらに盛り上がっちゃってます、人々の気分も土地の値段も。
今日は、そんなネパールの土地事情をポカラ中心にお話したいと思います。
(土地事情は同じネパールでもエリアによって全く違います。ここでは、ポカラとカトマンズにおける土地事情をお話していますが、ポカラやカトマンズでも中心街と郊外では、土地の値段に雲泥の差があることお含みおきください)
この記事のもくじ
ネパールの土地は、ここ20年で10倍以上になっている
ほんの20年前くらい前、私の知り合いは、ポカラで一戸建て400万円くらいで建てたと言います。当時の両替レートでいうと200万ルピーくらいでしょうか? 土地と2階建の建物両方合わせた金額です。
土地はロケーションで値段が大幅に違ってくるし、建物もピンキリなので、これが相場と言えるかなんとも言えませんが、 同じものを今建てようと思ったら、2000万ルピー以上は必要らしいのです。
ここ30年の間にツーリズムエリアとし大きく変貌を遂げた、ポカラのレイクサイドは、特に土地の値段の上昇率は激しく、今や20倍、30倍の土地だって珍しくないくらいです。(その昔は、農耕にもあまり向かない痩せた土地として役立たずの土地と呼ばれていたようですが)
私がポカラでホテルを始めようと土地を買った20年前はすでに、レイクサイ度はツーリズムの中心地となっていましたから、それ以前に比べて土地が高騰してしまっていて、高くて買えない、とぼやく人がいました。
その後マオイストの闘争が始まり国内の治安が悪化、経済も停滞したために、土地の値段は下がるだろうと思いました。しかし、カトマンズやポカラでは土地の値段が下降するような動きは見られませんでした。
むしろ、マオイストの村落部での台頭は、地方の裕福層の人々を都市へと向かわせたようで、あのマオイストの時代に、カトマンズの人口は増大し、新しい家が急増した印象がありました。
それ以前はリングロードの外は田畑の間に、ぽつんぽつんと家があっただけなのに、今では、リングロードの外でさえ、空き地を見つけるにはかなり奥まで車を走らせなければなりません。
2010年以降は急激に中国資本が流入し、ネパール国内の目ぼしい土地を買い漁るような状況になり、土地の値段は下がるどころか、上昇ラインをキープ。
そして、地震の後ですら、土地の値段は下がることがありせん。平地が極端に少ないネパールの地理上的なことも影響しているのかもしれません。
さらに、国際空港建設に湧くポカラでは、今でも建設ラッシュが続いているくらいです。
レイクサイドはかつて、メイン通りを少し入れば空き地がいっぱい。安いゲストハウスでも、庭は広く、ゆったりとぜいたくな気分を味わえたものですが、今ではタメル並みに家が密接する状況が起こっています。
ポカラの土地売買で使用されるハートシステム
ネパールの土地の測量法は独特のものがあって、普段はアナとローパニにという単位が使われます。
1ローパニ=16アナ、1ローパニは約150坪といったところです。昔は一戸建てを建てるのに、8アナ前後(約75坪)買う人が多かったと思います。でも、土地が高騰した現在は6アナ(約55坪)かそれ以下という感じです。
だから、敷地をめいっぱいつかって、隣と壁がくっつくように家を建てる人が増えました。
1アナ10万円の時代が懐かしいです。
今や、ポカラの市街地では、1アナ100万、200万円の時代です。
レイクサイドのメインストリートだったりすると1ハート300万円と言います。
このハートという単位ですが、これポカラ独特のシステムなんです。
ハートとは手という意味のネパール語なのですが、ここでいう1ハートは肘から手の中指の先までを意味します。成人男子でその長さ約45センチ前後でしょうか?
ポカラでは、商業地などでは、メインストリートに面している土地の間口の長さで土地の値段を決めます(この場合、奥行きの長さは関係ありません)。
1ハート300万円の場合、1ハートを50センチで計算としたとして、間口10mの土地は6000万円、こんな高い値段で売り買いされていることが驚きです。
ポカラの商用賃貸に必要なデポジットシステム
こんな風にポカラのメインストリートの土地の値段は、気軽に買えるレベルのものではなくなってしまいましたので、商売を始めようとする人は、たいてい、店舗を借りることになります。
家賃はロケーションや面積や、建物自体の設備で大きく変わりますが、メインストリートの1階あれば、シャッター1枚の間口の店舗で月に5万ルピー程度でしょうか。
あまり安いとは言えませんが、それ以上に驚くのが、ポカラ独特のデポジットシステムです。
日本で言えば敷金にあたるもの。家賃の前納ではなくて、家賃とは別に収めるお金で、解約した時に全額戻ってきます。
が、この金額がハンパじゃないのです。家賃が月5万円で、デポジットは100万円とか言われちゃいます。これ、大家さんの裁量次第の金額なので、人のいい大家さんだと低めで、がめつい大家さんや強気な大家さんだと高めです。メインストリートでは、300万円って場所もありましたね〜、驚き!
ただ、恐ろしいことに、全額戻ってくる保証はどこにもありません。ですので、しっかり契約の時には、必ず、書類を作成することが必要です。支払ったデポジットの支払いと、解約時の返金についての。
知り合いの日本人は店を引き払う時に、デポジットの6割くらいしか回収できなかったといいます。残念ながら、ビザが限られてネパールを出なければならない外国人の足元を見るような輩もいます。
年々高騰する家賃(最近毎年10%ほどアップ中)に加え、短い乾季のツーリストシーズンのみで稼ぐには厳しい上に、高額デポジットです。自前の店舗ならともかく、借りて商売が成り立つものでしょうか?
もちろん成功している店もありますが、毎年多くの店が入れ替わる状況を見ると、やはり厳しいのだろうなと想像できます。
外国人は土地を所有することができない
昨今のポカラの土地事情はこんな感じで、あ〜〜〜、20年前に土地を買っていたら今頃は左団扇かと思うような状況ではあるのですが、
が、
実は現在のネパールの法律では、外国人は土地を購入することができません。
ネパール人と結婚していたとしても、国籍をネパールに変更しない限り、土地は購入できません!(言い切り!)
購入できるとしたら、現地法人を作って、その現地法人が購入するという方法です。
ネパールで会社を立ち上げて、その会社の名義で土地を購入するという方法。中国資本がネパールの土地を購入しているのも、この方法です。
なにしろ、北海道と同じくらいの面積のちっちゃい国です。国境接するのはインドと中国という2大大国のみ。誰でも土地が購入できちゃったら、あっという間になくなってもおかしくない国です。
ただ、外国国籍を有するネパール人が増えた昨今、この法律の見直しが図られているようです。外国人でも土地が買えるようになるのか、あるいは、元ネパール国籍を有していた外国国籍保有者のみが買えるようになるのかは不明ですし、その法律の改定がいつになるか、されるのかされないのかも未定。まあ、いつになることやらというのは、ネパールではいつものことですが。
さいごに
相変わらず土地の値段が上がり続けるネパール。アパート暮らしの一般外国人としては、毎年値上がる家賃が厳しいですね。
普通に国内で雇われて働いたのでは、土地なんて夢のまた夢という値段になってしまっているのですが、この状況はいつまで続くのでしょう?
専門家でもなんでもない私には予想もつきませんが、今もしバブルがはじけたら、それこそとんでもないことになるだろうなあということだけは想像がつきます(銀行が次々潰れてもおかしくないです)。
なんだか綱渡りのようなネパールの状況。
でも、綱渡りじゃなかったことなんて、一度もなかったかもしれません。
そんなネパールに、今も住んでいる私とて、そう、いつも人生綱渡りなのでありましたとさ。